社会構造を変えるためのソーシャルテイメント第一弾として、京都・知恩院で朗読劇を上演します

創業して間もない頃から、HIGH HOPEのフェスを開催したいと考えていました。

再犯防止や更生保護をまじめに訴え続けても、その声が届く範囲は限られています。社会構造を変えるためには、アート、食、音楽、ダンス、映像、笑い、スポーツなど、人の心を動かすエンターテイメントの要素が絶対に必要なんです。

「かっこいい」
「おもしろい」
「感動した」

こういう人間の感情は、どんな時代であっても、力強く、尊い。1日24時間を何に使っているかを振り返ると、きっと多くの人は、社会のことを考えている時間よりも、エンタメを楽しんでいる時間の方が長いのではないでしょうか。

社会的意義が大きい事業こそ、クリエイティブの力で多くの人の心を動かして、活動を広げていくべきだと僕たちは信じています。

 
実は、ICHIの前に経営していた株式会社MIYACOの時から、「ソーシャルテイメント」という言葉を掲げて事業を展開してきました。これは、Social × Entertainment の造語です。

そしていよいよ、HIGH HOPEが生み出すソーシャルテイメントの大切な第一歩めとして、朗読劇を上演します。プロデューサーの春口 秀之さん率いるREADING WORLDの皆さんと、1年以上かけて何度も議論を重ね、ひとつの作品を育ててきました。ようやく皆さんに全貌を伝えることができます!

主役の名前は、「一登」といいます。

最初はそういう設定ではなかったのですが、春口さんや声優プロダクションの担当の方、脚本家、演出家の方々と話し合いを進めていく中で、僕たちの活動そのものからストーリーを描いていくことをご提案いただきました。

豊永 利行さんという素晴らしい声優さんが、僕、中馬 一登の役を演じてくださいます。豊永さんとは脚本の制作中に直接お会いして、HIGH HOPEの取り組みやお互いの経験についてじっくりお話しさせてもらいました。リクエストをいただいてこれまでの講演の動画などもお送りしており、役について深く理解したうえで舞台に立ってくださることを本当にありがたく思います。

京都医療少年院にて、プロデューサー 春口 秀之さんと

 
朗読劇は、浄土宗総本山 知恩院の集会堂(しゅうえどう)をお借りして、二日にわたって上演いたします。無理を承知でお声がけしたのですが、ありがたいことに知恩院の皆さまが HIGH HOPE のビジョンに共感してくださって、重要文化財である集会堂を使わせていただけることになりました。

HIGH HOPE『はじまりの燈』、ぜひ多くの方に見ていただければと思います。制作チームの皆さんは、関東や中部を拠点に活動されているにも関わらず、京都に来て、実際に少年院や刑務所を訪問してくれました。

日頃から HIGH HOPE を応援してくださっている方も、正直その分野にはあまり関心が持てないという方も、どんな方にも楽しんでいただける作品になるよう、制作を進めていただいています。

 

誰にとっても関係のない話ではないはずなのに

多くの人は、罪を犯した若者を見たことがありません。言葉を交わしたこともないし、彼らの生い立ちやこれからの人生について考える機会も、きっとありません。

僕たちもそうでした。でも、少年院で暮らす10代の子たちと出会い、彼らの言葉や表情に胸を打たれました。

誰にとっても関係のない話ではないはずなのに、無意識に遠ざけたり、見て見ぬふりをしたり。再犯防止の業界は、社会にとってそんな存在です。

出院後も悩み続ける10代・20代の話を聞き、社会が変わらないと、この問題は解決しないと強く思いました。

そんな時に春口さんと出会い、「朗読劇 READING WORLD」が生み出す世界観に圧倒され、ぜひ一緒に HIGH HOPE を表現していただきたいと思いました。制作が始まると、チームの皆さんが関東や中部から京都に来てくださって、少年院や刑務所を一緒に訪問することができました。想像以上の熱量で僕たちや当事者の若者たちと向き合っていただき、春口さんや制作チームの皆さん、そして素晴らしいキャストの方々と共に走れていることを誇りに感じています。

READING WORLD は、「日本の声優は世界に誇れる素晴らしい職業・文化であり、声優による表現をもっと広く・多くの方に届けたい」という春口さんの思いをきっかけに始まり、2020年から毎年、京都・下鴨神社で朗読劇「鴨の音」を開催されています。

2024年の朗読劇 READING WORLD ユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への⽣還『約束の果て』でご一緒させていただき、2025年の 『約束の鎮魂歌(レクイエム)』にも関わらせていただきました。第二次世界大戦のシベリア抑留からの帰還を題材にしたこれらの作品は、Snow Manの佐久間大介さんが出演されたことで若い世代からの注目を集め、舞鶴引揚記念館や関心を高めるきっかけになりました。

READING WORLDさんの作品より
世界文化遺産 下鴨神社 朗読劇 鴨の音 第五夜 『浅黄の桜-あさぎのさくら-』
朗読劇 READING WORLD ユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への⽣還 『約束の果て』

事実にもとづくストーリーから、少年たちの実情を感じていただきたい

今回、脚本制作を進めるにあたって、多摩少年院や浪速少年院を出院した少年たちが取材に協力してくれました。僕がこれまで出会った少年たちの実情もお伝えし、事実をベースにしてストーリーを描いていただいています。少年院での勤務経験がある現役の刑務官の方にも、監修のご協力をいただきました。さまざまな理由から書けなかった部分もありますが、リアルな情報だけを詰め込んだことは確かです。

「なぜ加害者を支援する必要があるのか?」

と言われることがあります。でも、現実を知ると、何の被害も受けずに加害者になった人はいないと感じます。

そして、危険を伴う現場で再犯防止の役割を担っている人たちの存在も知りました。刑務官や法務教官をはじめたくさんの方が、さまざまな制約やリスクがある中で、新たな被害者を生まないために奮闘してくださっています。

京都刑務所にて、刑務官や職員の方々とのディスカッション

「犯罪者」「刑務所」「少年院」という言葉が持つ印象を、ほんの少しでも変えることができれば

ICHI は「社会構造の変革によって 世界の犯罪を減らす」ことをビジョンに掲げ、少年院・刑務所と連携して、プログラム開発や製品開発を行っています。

ただ、僕たちは、罪を犯した若者たちがかわいそうだから支援しているわけではありません。

自らの過ちによって後悔や絶望を経験した彼らだからこそ、罪を償った後は、生きがいを見つけ、自律的に人生を歩み、社会に希望を与える存在になってほしいと考えています。全員がそうなれるとは思わないけれど、努力しても可能性をつぶされてしまう社会にはしたくない。そのために、「社会構造の変革」という大きな目標を設定する必要がありました。

この領域は、税負担の削減や安全性の向上につながる大事な社会課題の一つでありながら、経済合理性が低くビジネスでは解決ができないと考えられてきました。「誰一人取り残さない」とうたうSDGsがこれだけ普及した現代の日本社会において、罪を犯した人たちはその対象に含まれているのでしょうか。

3期目を迎え、さまざまな場面で賞をいただいたり、メディアに取り上げられたり、講演に呼んでもらったりと、チャンスをいただくことが格段に増えました。何の実績もない僕たちに期待し、応援してくださった関係者の皆さまに、本当に感謝しています。事業のスピードに組織体制が追いつかず、理想と現実のギャップに苦しむ日々でもあります。

当事者である若者を社員として迎えたことで、初めて気づいたこともたくさんあります。僕たち自身も日々、葛藤と反省を繰り返しています。今もまさに予想外のトラブルが起こって対応に追われている最中で、このタイミングで皆さんに朗読劇をお届けできることは、この事業にとって大きな意味があることなのだろうと感じています。

この朗読劇が終わった後、一人ひとりのお客様の中で、「犯罪者」や「少年院」、「刑務所」という言葉の印象にわずかでも変化があることを願っています。ぜひ会場でお会いしましょう!

 

【開催概要】

名称朗読劇READING WORLD 知恩院 HIGH HOPE 『はじまりの燈』
会場浄土宗総本山知恩院「集会堂」(重要文化財)
京都府京都市東山区林下町400
https://www.chion-in.or.jp/
日程2026年3月14日(土)
【昼の部】開場14:30 / 開演15:00
【夜の部】開場17:30 / 開演18:00

2026年3月15日(日)
【昼の部】開場12:00 / 開演12:30
【夜の部】開場15:00 / 開演15:30
出演者豊永利行 阿座上洋平 伊駒ゆりえ 山口由里子 岩田光央
脚本飯塚貴士
演出池浦毅
プロデューサー春口秀之 中馬一登
主催Thanksgiving  ICHI INC.
事務局READING WORLD製作委員会