「社会構造の変革によって 世界の犯罪を減らす」
「10代の犯罪を減らす」という目標を掲げて、これまでさまざまな活動をしてきました。そして、3期目を迎えた今、HIGH HOPEのビジョンを更新します。「10代の犯罪を減らす」から
「社会構造の変革によって 世界の犯罪を減らす」
へ。より大きな社会的インパクトの創出を目指し、少年院だけでなく国内外の刑務所とも事業を展開していきます。
この2年間で、Jリーグや法務省の賞をいただいたり、メディアに取り上げていただいたりと、一定の成果を出すことはできたと思います。多摩少年院の少年たちと企画したトートバッグも完成し、FC東京さんの試合会場で販売することができました。

一方で、次の展開の準備を進めていたプログラムが頓挫したり、事業単位で見た時に十分な売上を作れなかったりする中で、このままでは結局何も変えられないのではないか、という感覚もありました。
自分たちが目指すべき HIGH HOPE はどこにあるのか。限られたリソースを使って大きなインパクトを生み出していくには、何をすべきなのか。事業の枠組みを広げ、可能性を模索してきた結果、ICHI INC.が今最も注力していることの一つが京都刑務所とのプログラム開発です。
京都刑務所と起業家育成や製品開発のプログラムを開発
「社会構造の変革」という壮大なビジョンを目指すのであれば、社会運動的なムーブメントを作っていく必要があると思っています。犯罪の背景にある社会課題は、一企業が単独で頑張ってどうにかなるほど単純ではありません。
一方で、再犯防止の現場を知るにつれて、多くの人や企業を巻き込むには、制約の多い少年院よりも刑務所をフィールドにした方が効果的だと考えるようになりました。少年院は未成年のプライバシー保護などの観点から、どうしてもルールが厳しくなってしまうんです。刑務所には本格的な工場の設備があり、アパレルやレザー、木工、印刷などの製品を作ることもできます。
そして、この業界でもやはり、ものごとが動くかどうかは人と人とのつながりとタイミング次第なのだと感じています。府中刑務所でご一緒していた櫛引さんとのご縁をきっかけに、今年は京都刑務所の方々と対話を重ね、起業家育成や製品開発のプログラムを作り始めました。
一緒に視察や打ち合わせに行き、何度もプレゼンの練習をし、共に挑んだ法務省主催の「ミッションチャレンジ2025」では、フロア大賞を受賞することができました。現在は具体的なプログラム内容の検討を進めています。ありがたいことに、その過程にメディアの取材が入ることも決まっています。

矯正施設を出た若者が ICHI に入社しました
そして、皆さまに大切なご報告があります。この10月から、矯正施設(少年院・刑務所など)に入ったことのある若者が ICHI で働き始めました。幼い頃に両親と別れ、僕らが想像もできないような経験をしてきているので、彼の言葉にはっとさせられることがよくあります。予想外の行動に頭を抱えることもあります。
彼は僕たちにとって大切な希望であり、彼がどう働いてどう生きていくのか、彼の人生にどんな影響を与えられるのか、自分たちの志が試されている感覚もあります。
彼は、ICHI のメンバーについて「こういう大人に今まで会ったことがなかった」と言っていました。「みんな優しい」「あったかい」と。知人の紹介で出会ったのですが、実際に僕と会うまでは、どうせいいことを言ってるだけの偽善者だろうと思っていたそうです。
彼は今、自分自身の変化に戸惑っています。「口数が増えたし、笑うようになったって言われた」「何かをやりたいって思うようになった、そんなこと考えたことなかった。でも自分みたいな人間がそんなこと思っていいのか、わからへん」。葛藤やもどかしさも抱えながら、その時々の思いを言葉にして僕たちに伝えてくれます。
ビジネスマンとしては圧倒的にスキル不足ですし、まだまだマナーや立ち居振る舞いなど身につけなければいけないことだらけなのですが、腹の底から出る言葉しか口にしない彼を僕たちは信頼しています。今後、お目にかかる機会があれば、あたたかく見守っていただければと思います。

マイナスの状況から、どれだけ大きな希望を生み出すか
「社会構造の変革」は、一方向からのアプローチで実現するほど簡単ではありません。複数の角度から同時に事業を進めていって、それらをうまく掛け合わせられた時に初めて、複雑な課題を解決できるんだと思います。
ICHI INC.は、HIGH HOPE の活動をしながらヘルスケアや企業コンサル、まちづくりにも取り組んでいて、最近は資金調達のプラットフォームを作ろうとし始めているし、一見よくわからない会社になってきました。関連性がないように見えるんですけど、僕の頭の中には全てが掛け合わさっていくイメージがあります。
それぞれの事業の内容は全然違っても、「HIGH HOPE」という考え方は全てに共通しています。ICHI は、マイナスの状況からどれだけ大きな希望を生み出すか、を常に考えている集団なんです。メンバーが増えてきた今、いかに組織の純度を上げられるかが勝負だと思うようになりました。

クライアントや関係者の期待に応えるだけじゃなく、誰も想像しなかった HIGH HOPE な未来を描く。その実現に向けて、泥臭く挑み続ける。ICHI はそういう仕事しかしません。一緒に動くうちに、だんだんクライアントや関係者の方々もマインドが変わってくるんです。最初は半信半疑だった人や様子見していた人も、ポジティブな発言が増えて、表情が輝き出す。その変化を間近で見られる仕事なので、すごく楽しいし、やりがいしかないですね。
失敗というか、思い通り進まないこともあります。めっちゃあります。やっとの思いで取り付けた約束が理不尽な理由でくつがえされたり、お金の面でも「うわ…」と思う場面はありました。でも、一喜一憂しなくなりました。HIGH HOPE を目指しているので、トラブルが目先の小さな障害物くらいにしか見えなくなったんだと思います。むしろ、また僕たちが強くなるためのステップが来たぞ、と。
少年院でのプログラムは、本当はまだまだ継続したかったのですが、諸事情により中断せざるをえなくなりました。その事実を挫折と捉えるか、チャンスと捉えるかは、自分たち次第です。

2025年は、共に考え共に行動する仲間たちとのコミュニティとして HIGH HOPE ONE がスタートし、ONEs の方々と一緒に府中刑務所に行くことができました。さらに、株式会社誠進堂さまと「HIGH HOPE に関する協定書」を締結させていただき、ありがたいことに短期的な収益につながりづらい活動にも投資しやすい土壌が育ってきました。HIGH HOPEを支えてくださっている皆さま、いつも本当にありがとうございます。
そして今、3期目にして初めて会社の事業計画書を作っています。僕は書類作成が驚くほど苦手なので、今年 ICHI に参画してくれたメンバーが、僕たちの構想をかたちにしてくれています。完成したら、ぜひ見てやってください。
2026年、会社としてはまた新しい事業の立ち上げが始まるので、更にギアを上げて挑戦していきます。オープンなイベントもいくつか開催が決まっているので、お会いできることを楽しみにしています!